真琴と『ぼく』の恋愛日記
『真琴、始めるよ。』
『はい!』
パァン!というピストルの音と共に、観客席がやかましく騒ぎ立てる。
試合さながらの雰囲気。
はぁ…。集中力がきれそうなんだけど……。
でも、絶対失敗はできない。
1回でも失敗すれば、彩さんから罵声がとんでくるから。
極限まで自分自身を追い込んで、気持ちを奮い立たせた。
そして何とか15本走りきって、4人集まり軽くミーティングをして終わった。
観客席は相変わらず煩くて、武志も野球部員と騒ぎまくってる。
私は先輩達と部室に行って着替え、グラウンドに出たら千裕と香川君が近付いてきた。
『真琴!お疲れっ!相変わらずかっこよかったぁ!』
『ありがと。てか、いい加減観戦するのやめてほしいんだけど。』
そう言いながら後ろを振り返ると、野球部やサッカー部員が、みんな帰り始めてる。
『しょーがないっしょ!真琴は何やっても注目されちゃうから!ね!?』
そう言って、バシッ!と香川君の背中を思いっきり叩いた。
『いたっ!痛いよぉ、ちぃーちゃん…。』
香川君が、泣きそうな顔して私を見てきた。
……目で訴えられても。