曖昧な温もり
「もう…やめて、よ」
「は?」
力のない私の声が聞こえなかったのか葛城は大袈裟に聞き返してくる。
その態度もだが、なぜこんな大勢いる公共の場で私は恥をかかされているのだろう。それを考えたら怒りがフツフツとこみ上げ終いに私はプチっと切れていた。
「なによ。遊びはアンタも同じでしょーが!いつもいつも違う女と寝てるくせに私ばかり悪者扱いするな!それにアンタから付き合おうとか好きとか言われたことなんてないから!」
興奮したせいでハアハアと肩で息をする。言ってやった。もう他人にどう思われようがどうでもいい。さらば!私の平穏な大学生活。
葛城に睨みをきかせると葛城は急にお腹を抱えてゲラゲラ笑い始めた。私も周りもキョトンとするしかない。
「あー面白れー。お前、好きって言って欲しかったのかよ。だったら早くそう言えって」
「あのねー!誰もそんなこと」
「いいかよく聞け。俺はお前が好きだ。だから今日からお前は俺の女。分かったか」