アイドルに恋をして
『手ぶらで行かないでよ⁉︎途中で何か差し入れ買って行きなさい』



そう言われて渡されたお金を持って、父の職場まで向かう。



父の職場に行くなんて初めてだ。



美咲の父は、CMとかを作る会社で働いている。


そこそこ偉い立場にいるらしい。


高校時代に反抗期を迎えてから、父とはまともな会話をしていない。


なので、父がどんな仕事をしているのかよく分かっていない。



これもいい機会かもしれない。


就活の手助けになるかもしれない。

企業訪問と思えばいっか。




美咲は駅前のデパートで、適当な菓子折りを買って、母に教えてもらった住所を手掛かりに会社に向かった。




駅から歩いて10分ぐらいのところに、父の会社があった。


名前を何度も確認する。


どうやら間違いないようだ。


「(えっーと。受付で呼び出したらいいんだっけ?)」



一応、駅に着いた時に父に電話を入れてみたのだが出なかった。



気合いを入れて、受付に座る綺麗なお姉さんに声をかける。




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