落雁
ジムに着いて、荷物をロッカーの前に下ろす。
みんなは既に準備運動をしていて、いつでも動けるみたいだった。
あたしも準備運動しないと。
制服を脱いで(下にジャージ着用)、あたしは裾を捲くる。
司がごっつの隣に行った。
何かを話している。
そんなに気になりはしなかったけれど、ごっつがとにかく驚いた顔をした。
そんな顔をしているごっつを見ると、どうしても首を突っ込みたくなってしまう。
「…どうしたの?」
2人の間に割って入り、その経緯を聞いた。
ごっつは、堅い表情のままだった。
「いや、さすがにそれは無理だろー」
やっと渋い声を出す。
何が?
聞きたくても聞ける様子ではなかった。
「俺達だって、お前に負けたのに」
「弥刀ちゃんはきみたちより強いよ」
「え?何の話?」
司はにやにやしている。ごっつは渋い顔をしている。
あたしは何がなんだか分からない。
疑問の目を司に向けてみると、彼は答えてくれた
「僕と弥刀ちゃんでスパーリングさせてよって話をしてたの」
うーんとごっつは唸る。
一瞬何を言っているのかが分からなかったけど、その後にあたしの感情は高ぶってきた。
こいつと闘えるなんて、最高じゃないか。
どっちが強いか、白黒つけることができるいいチャンス。
「やりたい」
「えぇー、弥刀っち、おまえまで…」
心底嫌そうな顔をするごっつ。
そりゃそうだ。今まで部活の中でスパーリングなんてさせてもらったこともないし。