落雁
HRが終わって、1時限目に入るまでの放課。
クラスメイトの注目は勿論、神谷司に向けられた。
「どこから来たの?」「編入試験難しいんでしょ?頭良いんだ」「彼女は?」「なんでこの学校に来たの?」
そんな質問攻めをあたしと芽瑠は遠巻きに見ていた。
遠巻きと言っても案外あたしの席とそいつは近くて、その人混みから離れるようにあたし達は避難したんだけど。
「すごいねぇ、神谷君」
「みんなも元気なんだよ。芽瑠は興味ないの?」
「うちねぇ、きれいな人はタイプじゃないかな」
こんな綺麗な顔をしている芽瑠から意外な言葉が出てきた。
「もっと凄みがある人が好きだなぁ。弥刀ちゃんはー??」
「同意かな。やっぱ男は男気ないとね」
「弥刀ちゃんは分かってるねぇ」
からからと芽瑠は笑う。天使のような笑顔だ。
ちろちろと男子の視線が芽瑠に刺さっているのがあたしでも分かる。つくづく思う、罪な子だ。