落雁


「僕に何か聞きたいこと、ある?」
「…」

そう言われて、あたしは考え込んだ。
どうしてだろう。昨日までは、あんなに不満や質問があったのに。

頭が熱に侵されて上手く機能しないせいだろうか。何も口から出てこない。

まぁいいや。とにかく、今は何でもいいから聞いてみよう。
そうしたら、自分の中で納得することができるかもしれないし。

「神谷司はなに?」
「神谷司じゃなくて司って呼んで」
「嫌だ」
「じゃあ、答えない」

にっこりと笑う神谷司。
面倒臭い奴だな。こっちは上手く考えられない病人なんだぞ。


「…司、あんたはなに?」
「僕は普通の男の子だよ」
「なんで辰巳と知り合ったわけ」

ふざけた答えを無視して、あたしはどんどん質問をすることにした。
そいつは、考えているのか考えていないのか分からないくらい視線を泳がせていたが、すぐに口を開いた。

「…外に居たら、なんか声掛けられた…が、出会いかな」
「声掛けられたぁ?そん時なにしてたの」
「別になにもしてなかったよ」

けろりとそいつは答える。
ご多忙な京極家当主がただ外に居た一般市民に声をかけて、「当主にならないか」なんて話をするわけないじゃないか。

「うそ臭いな」
「嘘じゃないって。…あぁ、いや、3パーセントくらいは嘘かな。でも残りの97パーセントはほんと」

あたしは次の質問を考えた。こいつの下らない戯言に付き合ってたら、また熱が出る。


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