落雁
ボクシングジムに着いて、みんな四隅に荷物を固める。
準備体操する人も居るし、リングをチェックしている人も居る。
あたしはそれを尻目に、トレーニング室に向かった。
トレーニング室は貸し切りじゃないけど、平日の夕方と言う微妙な時間だったから、人は
あたしの他には居なかった。
そもそも、ここのジム自体が過疎化してるからだけど。
実質ここのトレーニング室を貸し切りな訳で、あたしは心が弾んだ。
何からやろう。家に無いマシンからやりたい。
昨日は怠けに怠けたから、鍛えないと。
あたしはとりあえず名前が分からない器具に座った。
どうやって使うんだろう。
そしてぴんと気付いた。腕をがしゃがしゃする奴だな。
距離を調節して、それに腕を通してぐっと引き寄せてみる。
おお、こんなの初めてやった。
感動しながら、それをがしゃがしゃし続ける。
いつもと違う筋肉が鍛わるのはこんなに気持ちいいものなのだろうか。
そうして汗がだらだら垂れ続けるまでやった所で、あたしはそれから立ち上がった。
次は何をしよう。
寝た状態でやる重量挙げかな。ちゃんと安全バーついてるし。
あたしは革製のそれに寝転がると、ひんやりとあたしの体温を奪う。
また熱が上がってきたのかな。まぁ、どうせ微熱だけど。
冷たい鉄部分を握る。
持ち上げると、バーと一緒に重量が持ち上がる。
おおお、肩の筋肉にもきいている気がする。
初めて感じた筋肉の軋みに、あたしは自然と笑みが溢れた。
全身から汗が滲んでくる。
Tシャツが汗をぐんぐん吸っていく。
そうして重量挙げを楽しんでいると、トレーニング室のドアが開いた。
目玉だけ動かすと、目の奥がずきんと傷んだ。