今昔狐物語
「ふふふっ…発想が、何とも可愛らしいですね。ふふっ」
水真馳が一番上品だったが、爆笑していることに変わりはない。
馬鹿にされたような笑いに少々、ムッときた蛍。
恥ずかしさと腹立たしさから、無言で妓楼の入り口へと歩き出す。
「あ、待って下さい!可愛い人」
背後からそっと抱き寄せられた。
波打つ緩やかな白い髪が視界の端に入る。
水真馳だ。
「心配せずとも、そんなことで化かしたりしませんよ。お代はちゃんと払います。……それにしても、やはり貴女は面白い子ですね。気に入りました。どうです?ここを抜け出して私と二人、逢瀬を楽しみませんか?」
「わ、わっちは…仕事が…!」
勝手にここを抜け出したら戻った時、厳しい折檻が待っている。
その辺をこの狐はわかっているのだろうか。