今昔狐物語

文句の一つや二つぶつけてやろうか。

そう思ってキッと水真馳を睨んだ。

けれど、全く動じずに白狐はこう続けた。

「それから、お話しましょう?女郎ではなく素の貴女と話してみたいんです。ですから郭言葉は無しでお願いしますね」

そう言うと、狐から人へと姿を変じた水真馳。

「きゃ!?」

いきなりのことに驚いている暇もない。

水真馳は蛍に近寄ると、優雅に彼女の手をとった。

もちろん、はたきを持っていない方の手だ。

「み、見世が始まってから出直しておくんなんし!わっちはまだ…」

掃除中だ、と主張しようとしたが…。

「ひゃあっ!?」


突然、耳をペロリ。


「言ったでしょう?素の貴女が知りたいと…」


水真馳の吐息が耳にかかり、ぞくぞくとした何かが背筋を這い上がる。


 
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