今昔狐物語

不躾に着物の胸元をまさぐられ、男がしようとする行為を悟った蛍。


(ど、どうしよう!?こういう時は…!えっと~!)


ここの規則を守らない客は客じゃない。

こういう場合は撃退することだって許される。

蛍は混乱する頭で考えてから、足をばたつかせた。


(そうよ!すねを蹴ってやれば隙が…)


比較的自由な足を動かしてみるが、いかんせん暗過ぎて相手が見えない上に当たらない。

努力は無駄に終わり、男の足払いによって床に倒される。

「きゃ!?」

押し倒され、のしかかられる。

先程よりも危険な体勢だが、口は解放された。

「た、助けっ――!」

「大人しくしてろや」

男の顔が近づいてくるのが気配でわかった。

不意に、水真馳との口づけが頭をよぎる。


「い、いやぁあ!!助けて水真馳ぃい!!!!」



 
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