今昔狐物語



 水真馳への想いを自覚してしまった蛍。

そんな彼女に、正式に客をとる遊女としての最初の試練が訪れようとしていた。


「蛍、一週間後にあんたの突き出しが決まったよ」

午前中、夕霧と一緒に風呂に浸かっていた蛍は突然の話に驚いた。

「私が…突き出し?」

「そうさ。十七になったら振袖新造は卒業。突き出しの儀式をしてから、正式に客をとる女郎になるんだ」

振袖新造は十七歳になると、お客をとることが許される。

その時に行われるものが「突き出し」と呼ばれる儀式だった。

内容を簡単に言ってしまえば、姉女郎が振袖新造と共に七日間、花魁道中をするというもの。

これは振袖新造をお披露目するという意味を持つ。

この他に、親しい妓楼や茶屋に餅菓子や祝儀を配ったりと、色々お金もかかる。

この出費は全て、姐さんである夕霧が負担するのが決まりだ。


 
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