今昔狐物語
信じられないものを見たように、水真馳の目が最大限開かれた。
「な…何を、言って…」
「お願い。誓わせてっ。貴方をずっと、好きでいさせて…!」
小指を切る。
それは彼女達にとって、揺るがぬ愛の証し。
「……できません。できませんよ…そんなことっ」
「お願い!本当は自分で切るつもりだったの!でも、水真馳にしてもらいたい!お願い…。私の心を、受け取って下さい…」
しばらく、二人の間に沈黙が流れた。
水真馳の瞳が蛍の気持ちを探るように揺らめく。
「蛍…」
やおら、水真馳が口を開いた。
「……本当にいいのですか?かなり、痛みますよ?」
否定して欲しかった。
けれど彼女は肉体的苦痛など、なんら問題ではないかのように微笑む。
「いいの。お願いします」