今昔狐物語
「鞠紗は心配性だね。僕なら大丈夫だよ」
玖羅加は鞠紗の頬を優しく撫でた。
「ん…そう?」
撫でられる気恥ずかしさを紛らわすように俯いた時だった。
「おせぇよ!!何油売ってんだ!」
家の方から鞠紗の夫、修平(シュウヘイ)がやって来た。
「あ、しゅーちゃん」
「あ、じゃねぇよ!化け物と遊んでねぇで、さっさと帰って飯作れ!要領悪い女だな!」
鞠紗と修平は夫婦と言えど、仲が悪いことこの上ない。
もともと好きあって結婚したわけではないため、当然といえば当然であった。
「玖羅加は化け物じゃないわ!そんなふうに呼ばないで!」
「いいよ、鞠紗」
玖羅加が鞠紗の肩に手をやり、止めた。
自分のことで無駄な言い争いをして欲しくないのだ。
「鞠紗に触んなよ!!きたねぇ化けもんがっ!!」