今昔狐物語

修平が玖羅加に駆け寄り、勢いに任せて顔を殴りつけた。

バキッという嫌な音が鞠紗の耳に届く。


「やめて!!!!」


鞠紗が叫んだ瞬間、玖羅加は殴られた頬に手をやり、瞳を悲しげに揺らめかせながら竹やぶの奥へスッと消えていった。


「ケッ、気持ち悪い奴」

「なんてことするのよ!!」




パンッ――!



修平の頬が鳴った。


「痛っ!!」

仕返しが恐ろしいとわかっていても、鞠紗は夫に平手打ちを食らわせた。

「最低!!しゅーちゃんの馬鹿!!」

「鞠紗てめぇ!!俺はてめぇの夫だぞ!?妻が夫に手ぇ上げていいと思ってんのかよ!!」



バキッ!!!!



怒りまかせに鞠紗の頬が殴られた。

妻は平手打ちだったにも関わらず、拳でやり返す夫。

「ふざけんなよ!!クソ女!!」

「くっ…!」

カゴを取り落とし、地にうずくまった鞠紗を足蹴にする。


 
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