今昔狐物語
(クソはどっちよ…!)
頭の中で罵倒しつつ、鞠紗は歯を食いしばって痛みに堪えた。
こんなことは日常茶飯事なため、近頃は慣れてしまった。
(もう少し…もう少し堪えれば…終わる…!)
鞠紗と修平の結婚は親が決めたものだった。
親同士の仲が良かったこと。
歳が近かったこと。
同じ村に住んでいること。
そんな好条件が重なり、二人の意思に反して半年前、婚姻が挙げられた。
(最初は良かった…。しゅーちゃんは幼なじみだし、結婚生活も、上手くいくと思ってた。けど…)
最近は酒をかっくらっては暴力的になり、何かと鞠紗に当たってくる。
特に鞠紗が玖羅加と一緒にいたことがバレた日は、一段と荒れっぷりが酷い。
そんな夫に彼女は辟易していた。
(もう……やだな…)
やっと足蹴から解放された鞠紗は、虚ろな瞳で夫の背中を見つめながら家へ戻った。