今昔狐物語
その日の夜中。
鞠紗は今夜も、優しさのカケラもない夫の抱き方に虚しさを感じていた。
(辛いだけよ…こんなの)
先に果ててさっさと寝てしまった夫を横目に、昼間のことを思い出す。
(玖羅加…あなたなら、こんな酷いことしないよね)
なのに、忌み嫌われているのは彼の方で。
確かに、玖羅加は不思議な存在だ。
鞠紗が子供の頃からずっと青年の姿。
時が経っても見た目が全く変わっていない。
(それでも、しゅーちゃんよりは良いわよ)
性格は彼の方が数十倍マシだ。
(…ううん。玖羅加だから…良いのよ)
うとうとしてきた鞠紗。
玖羅加のことを考えながら、次第にまぶたが落ちてくる。
その時だった。
カタン
部屋の隅で音がした。
(な、に…?)
気にはなったが、よくある風の悪戯だろう。
鞠紗はそのまま眠りについた。