今昔狐物語


 翌日のこと。

いつも通り夜明けと共に起床し、うるさい夫のために朝餉(アサゲ)を作ろうと鞠紗が布団から起き上がる。

しかし、ここで彼女は普段と違うことに二つ気がついた。

一つは…。


「あれ?しゅーちゃん?」

隣の布団で寝ているはずの修平がいなかった。

彼の布団は綺麗にたたまれ、部屋の隅に置かれている。

室内に修平の姿はない。

「どこ行ったのかな?」

夫がこんな早起きするなんてありえない。

鞠紗の知る限り、修平が先に起床したことは今まで一度もなかった。


そして二つ目は…。


「この臭い…台所から?」

美味しそうな臭いが漂ってくる。

慌てて鞠紗は台所に向かった。



 
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