今昔狐物語
昨日、殴られた側の頬。
まだ少し腫れている。
修平は癒すかのように、そっと腫れた頬を撫でた。
「…っ!?」
ビクンと震える鞠紗の身体。
(う…そ…)
彼女はあることに気がついた。
(今の撫で方…玖羅加と同じ…?)
昨日、玖羅加に撫でられたばかりなので、鮮明に思い出せる。
あの優しい指先。
壊れ物に触れるかのような気遣いが伝わってくる撫で方。
鞠紗が大好きな玖羅加の手。
(もしかして…)
ゴクリと唾を呑み込んでから、鞠紗は恐る恐る言った。
「く、らか…?」
「え?」
修平が目を丸くした。
「あなたは…玖羅加なの?」
家の外で竹やぶが、風に吹かれてザワリと鳴った。