花とミツバチ
「自分のこと本気で好きでいてくれてるって、そう分かってたなら始まるべきじゃなかったんじゃないですか」
傷付く彼女は見たくなかった。
切ない横顔も好きだけど、それでもやっぱり笑っていてほしかった。
「…手出ししたところで、あの人が『奥さんと別れて』ってすがるような人でもないこともわかってたのに」
別れてなんて言わないでしょ。彼女は優しい人だから。
それら全てをわかった上で顔色一つ変えずにいる、この人のことが許せない。本当は、殴ってやりたい。
だけどそんなことを彼女が望んでいないこともわかるから、ぐっと右手を握り堪えた。
「…悪かったと、思ってるよ」
「え…?」
ところがその人から呟かれた意外な一言に、俺は首を傾げた。