あなたの心理テスト(ホラー)
 ―――――どうして俺に振り向いてくれない?


 学校から出て努はそればかり考えていた。


 7月の太陽の日差しが努を照り付ける。


まだ本格的な夏ではないものの、決して涼しいわけではない。


どちらかと言えば暑いほどだ。


 暑いのに、努の手は震えていた。


心の奥底から込み上げてくる『何か』と必死に格闘しているからなのか。


それとも…その感情が外に出ている証拠なのか。


―――――別に恋なんかで俺は狂わない。


   いいじゃねえか。二人、お似合いだし。俺が出るところも何もねえよ。


 わかっていた。恋なんかで人を憎むのは良くないと。


ヨシのこと、くるみのこと、ヨシのこと、くるみのこと、


ヨシ、くるみ、ヨシ、くるみ、ヨシ、くるみ……


ぐるぐる回る頭の中を整理しようとする努。


でももう思考回路はぐちゃぐちゃだ。


「あああああああああああああああ!!!」


 太陽の日差しが照りつけるコンクリートで舗装された歩道で、努は、叫ぶ。


―――――わかんねえよ!!ヨシのこと、嫌いじゃねえのに…。


   でも何だよ、これ。何なんだよ、この感情。


   くるみ。俺、どうすればいいんだよ?


 かといってくるみに直接聞くわけにもいかない。


自分の中で冷静に処理するか、くるみに対する『恋』という感情を捨てるしかない。


―――――運命って残酷だよな。人一人で叫ぶくらい辛くなっちまうんだな。


   あーあ、馬鹿な俺。さっさと諦めればいいのによ。


 でも誰だってわかりきっているようにヨシには勝てっこない。


もうくるみの目にはヨシしか映らないのだから。


ぐしっ。


 努は転がっていた石ころを踏みつける。


履いているスニーカーに食い込んで、かすかに痛みを感じた。
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