あなたの心理テスト(ホラー)
 このまま家に帰ってもすることがない努は寄り道をすることにした。


―――――どこへ行こう?公園、近所の森、ペットショップ、本屋…。


   行くべき場所はどこにでもある。だけど…なんだか行く気分じゃないんだよな。


   だけど家に帰れば帰ったで暇だしなあ…。


 登校鞄を背負って歩道に一人で立ち尽くす努は異様な空気を醸し出している。


友達が隣にいるわけでもなければ、誰かを待っているわけでもない。


ただ、立っているだけ。


車道に走っている車の運転手は皆努を二度見しながら走り去っていく。


―――――そういえば、皆どうしただろう?


 努が保健室から出て行ったことを、皆気が付いているのだろうか?


努が出て行ってから十分強。


さすがに気付いていない、ということはないと思うが。


努が出て行ったのに誰一人として追いかけてくれなかったのは、


やはり努にとってはショックだった。


―――――あのあとどうなった?ヨシとくるみは?蘭は?海斗は?


 頭の中でどんどん妄想が膨らむ。


―――――ああなって、こうなって、それから、それから…


 空気がパンパンに入った風船のように努の頭はパンク寸前だった。


―――――ああ、もう!こんなこと考えていたってらちが明かねえよ!


   いいや。俺一人でどっかその辺の本屋にでも寄ろう…。


 特に努はこれと言って探している本もなければ読みたい本もなかった。


ただの暇つぶしで本屋に寄るようだ。


店員はさぞ迷惑だろうが…。


 努はふとカバンの中を覗き込む。別に意味などない。


すると、カバンの中に偶然入っていた図書カードを見つけた。


努は本を買う目的で本屋に行くのではなかったが、図書カードを見ると買いたくなってきた。


ワクワクしてくる。


―――――そうだ、俺もくるみみたいにみんなに自慢できそうな、


   話のネタになりそうな本を買おう! 


 努は軽い決心をした。


来た道を戻り、学校の近くの本屋へと向かう。
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