あなたの心理テスト(ホラー)
 「くる…!…み!…るみ!くるみ!くるみ!!」


―――――何?あたし…どうしたんだっけ?どうして努、叫んでるの?


   あたし、そんな悪いこと、した?何だっけ。思い出せない…。


くるみは混乱しながらもゆっくりと目を開いた。


 目を覚ましたことに一番に気が付いたのは蘭だった。


「! くるみ!起きたのね!?」


「…んぁ?あ、蘭…」


「! 目、覚ましたのか!良かった…」


「努も…。あ、ヨシ…海斗…」


 上半身だけを起こしてあたりを見回すくるみ。


ヨシの姿が目に入った瞬間、頬がぱっと赤く染まった。


 それを見て努は安心と悔しさが入り混じる、不思議な気分にさせられた。


―――――んだよ。寝ても覚めてもヨシか…。


 ヨシはくるみと目を合わせようとしない。


恥ずかしいのだろうか。


「たっく…心配させんじゃねえぞ、このアホ!」


くるみに近づいたかと思えばまだ目を合わせず、くるみの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


乱暴だが、どこか優しい撫で方。


「……っ」


 努は悔しかった。ヨシのことを中学生から知っているからこそ。


努の一番一緒にいる時間が長いのは海斗。


その海斗より友達づきあいは短いものの、


中学校から同じ道を進んでいるなら、大概のことは分かる。


ヨシのあの撫で方。そればかりが目についた。


中学生の頃。ヨシが好きだと言っていたある女子に、ヨシは猛烈アタックを仕掛けていた。


そのアタックこそ…今くるみにした撫で方なのである。


つまり…そこから導き出される結論。


―――――くるみはヨシのことが好き。じゃあヨシは…ヨシは……ヨシとくるみは…


   まさか。そんなわけないだろ。たとえそうだとしても、


   俺はくるみを好きでい続けるだけだ。


   そんなはずないと思うが。いや、絶対ない。…と思いたいな。


 努の頭の中はフル回転していた。


「……っ…!くそっ…」


 そうつぶやいた後、カバンを持ちたった一人で努は保健室を出た。
< 9 / 52 >

この作品をシェア

pagetop