あなたの心理テスト(ホラー)
 上から下まですべての本を見る努。


―――――お、いいな。


タイトルを見て面白そうだと感じる本は何冊かあった。


 しかし。


ぱらぱらぱら…。


「…ハア」


いざページをめくると面白くなさそうだと感じるものばかりだった。


 努は何よりも始まり方にこだわる。


始まり方で努の心をとらえないと、努には買ってもらえないのである。


「!」


―――――これ、いいんじゃないか?


 努は真ん中より少し上の方の本を手に取った。


 題名は【空回りバナナ】というものだった。


―――――空回り、バナナ…。何の話だ?


 表紙はバナナでありとあらゆるところが埋まっていた。


 著者は絵の具苺…。努は聞いたことがなかった。


 本好きで結構な数の本を持っている努でさえ、この名前は知らなかった。


というか、こんなふざけた名前の人が書いた本、どこが仕入れると言えよう。


 期待に胸を膨らませ、


ぱらぱらぱら…。


ページをめくる努。


でも。


―――――ダメだ。全く面白そうじゃない。


 内容としては、著者の絵の具苺がバナナを好きすぎて、


そのバナナに対する愛をつづっている、くだらないものだった。


―――――何のつもりでこんなものを書いたんだ。読者をなめているのか!?


努は無性に苛立った。自分を含めた全ての本好きに謝ってほしいと思った。


―――――こんなものに時間をかけた自分がバカみたいだ。


   今日のところは出直して別のところに行くか…。


 そう思った矢先。


「!?」


 1冊の本が努の目に留まった。


それは努の身長より高いここの本棚の一番上にあった。


本屋の奥の奥の奥の、一番上にある本。


努はその本がとても気になった。言葉では言い表せないほど。
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