あなたの心理テスト(ホラー)
 「え~、それでだな」


 教室に五十嵐の声が響き渡る。いや、実際響き渡ってなどいない。


教室内がうるさすぎて響くの『ひ』の字もない。


―――――いつもなら努が注意してくれんのになぁ。


   朝の会からこんな調子じゃ、俺、おかしくなるよ。


 ヨシは憂鬱だった。


 いつもは7時30分に学校に来ている努が、朝の会が始まっても来ないのだ。


 海斗は携帯をいじっているし、蘭は黙って先生を見ている。


昨日倒れたくるみは、休みだ。


「!」


 ヨシは推測した。


―――――まさかくるみと努…朝からイチャイチャなんかしちゃってる系か?


 もちろん2人は付き合ってなどいない。


でもいい具合にちょうど2人はいないのだ。


くるみはまだわかるものの、努…連絡も入っていないし、何をしてるかもさっぱり。


大丈夫か?と思う一方、不安がヨシに募っていく。


「でよぉ、もう俺、昨日彼女とヤっちゃったんだぜ!羨ましいだろぉ~?」


「うわ~マジかよ?感想をどーぞー!!」


 くだらない会話で盛り上がる教室。


 もちろん、彼女とヤった…そう言うのは正。


―――――全く、手出すの早いよな。ま・い・か・い。


 ヨシはそう思った。教室はうるさくても正の声は特徴的だからすぐわかる。


声変りをした、学年の中で一番低い声。それが正の声。


しかもそれが結構なイケメンボイス…イケボだから、少し羨ましい。


 彼女のいないヨシにとって、正の話題には毎回興味を持った。


 ヤった、ヤってない…正の周りにはいつもそんな噂が渦巻いている。


正をよく思わない奴が皮肉って言ったものもあれば、正自身が言ったものもある。


大抵は正自身が言ったものだ。


 ヨシはそんな話題を聞くたびに、想い人との未来を想像してしまう。


あんなこと、こんなこと…。


 しかし理性がそれを止め、いつも最後の一歩手前で終了。


 少しもどかしいヨシだった。


 一方で、彼女を作りたいとも思う年頃だ。


 彼女を作り、そのうち妄想通りのことをしてみたいと思うヨシがいた。
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