あなたの心理テスト(ホラー)
 「どうした?何かあったのか?」


 五十嵐は号令を中断し、ドアの近くに立っている保健の先生に近づく。


「あ、あの…その、五十嵐先生のクラスの羽田さんのことなんですが…」


 そこまではクラス全員に聞こえた。


 しかしそのあと、保健の先生が急に五十嵐の耳元でひそひそ声で話しだしたため、


五十嵐以外の誰一人として話の内容を聞き取ることができなかった。


 そして保健の先生が一通り話したと思われたとき、


「ま、さか…嘘だろ?それは本当か?」


五十嵐の顔まで青くなり、額に脂汗が浮かんだ。


「はい。本当です。クラスの皆さんに…」


 それだけ言って、保健の先生は去っていった。


そしてちょうど、


キーン コーン カーン コーン……


朝の会の終わりを告げるチャイムが鳴った。


また、このチャイムは1時間目の始まりを告げるチャイムでもある。


「ふう…」


 五十嵐はチャイムが鳴り終わった後、1回深呼吸をしてクラスメイト全員を見た。


「落ち着いて聞いてくれ。先生もまだ信じられないが…」


 努とヨシ、海斗、蘭は嫌な予感を感じていた。


 五十嵐の態度を見ればいい知らせではないことが十分にわかる。


「羽田のことなんだ。羽田が、羽田くるみが…死んだ」


「「「え?」」」


 クラスメイト全員が耳を疑った。


「驚くのはまだ早い。いや、これでも驚くと思うが…。少なくとも先生は驚いている。


 あのな、羽田は、即死だったらしい」


―――――即、死…。


 4人の頭の中にはこの2文字しか頭にない。


「詳しくは俺も聞いていないんだが…穴が開いていたらしい。


 顔のど真ん中に大きな穴が開いて、顔はほとんど残っていないそうだ」


「先生~、エイプリルフールは終わりましたよぉ~?」


 正がハイハイと手を挙げてこの状況でさえふざけてみせる。


「……!!」


 努は自分の席で手を震わせた。


 くるみの死も信じられないし、正の行動にも呆れるばかりだ。


「遠野、信じられないかもしれないが、これは本当だ」


「またまたぁ~、ま、本当だとしても、俺には関係ないし?」


「…!?」


 努は信じられなかった。


―――――人1人が死んだっていうのにそんな態度をとるなんて…!!


「てめえ…正……!!!」


 努は小声で言ったつもりだったが、正には聞こえていた。


「なんだい?あ、努ってくるみLOVEなのぉ?だからそんなに震えてるんだぁ~!」


パチン、と指を鳴らす正に、努はこれ以上ない怒りを覚えた。


―――――ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな…!!


「もう一度言ってみろ…!!」


 努はつかつかと正のもとへ歩いていく。


 もう歯止めは、効かない。
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