あなたの心理テスト(ホラー)
 保健室にくるみが運ばれてどれほどの時間が経っただろうか。


実際には5分もたっていない。


 でも努、海斗、ヨシ、蘭にはその5倍、いや10倍の長さに感じられた。


 いつも冷静な蘭も額には汗がにじんでいる。


蘭は感情を出す方ではない。汗もかかない。焦ることがないからだ。


―――――珍しいな。


 ヨシと海斗は思った。


 一方の努といえば、くるみのことが心配で心配でたまらない。


男の保健の先生には「大丈夫。すぐ元の調子を取り戻すよ」と言われたのだが、


それでも好きな女の子が倒れたのだ。心配になるのも無理はない。


―――――くるみ…無事だよな?


 くるみに興味がないヨシもさすがに今回は心配している。


好きだから心配している、というわけではなさそうだが。


 海斗は別に心配もしていなければ安心もしていない様子。


なぜか一人物思いにふけっている。


心ここに非ずといったようだ。


 それを見て努は少しイライラするのだった。


―――――何だよ。友達が倒れたっつーのに何ボーっとしてんだ!?


「おい、海斗!お前、くるみが心配じゃないのか!?」


「ん?ああ。もちろん心配だよ。だけど、保健の先生が大丈夫って言ってんじゃん。


 俺らより先生の方がこういう事は詳しいだろ。


 心配してどうのこうのっていうもんじゃねえだろ。くるみが目を覚ますまで待ってようぜ」


「…」


「そうだ。俺もそう思うぞ」


 隣にいる五十嵐も同じことを言う。


―――――確かにそうだが…。


 あまりにも自分の感情に反した、かつ冷静でもっともな意見を言われたため、


何も言えることはなかった。


 気が付けばくるみが倒れてから10分が経っていた。
< 8 / 52 >

この作品をシェア

pagetop