Dancing Night
香神が二回りも離れた高妻に惹かれたのは、さり気ない優しさだった。
高妻の何気ない一言で、これまで何度も香神は救われてきた。
『もうだめだ』と思った時、抜群のタイミングで、高妻がくれた一言は、思い出すだけで、香神の心を温かくする。
高妻自身は、とっくにそんなことなど忘れてしまっているのだろうが。
香神は高妻の人間性に触れるうち、どんどん惹かれていき、ただ一つ、直属の上司である時を除いて、高妻の全てに憧れていた。