紅茶遊戯
嬉しかった、だなんて。
「だってあれ、ほんとのことだし!」ついムキになる。「ああいうの、気にしないでね!小林くんは悪くないんだし。今日のこともほんとなんか、ごめんね…」
言葉の最後をフェードアウトさせながら、私はうなだれる小林に膝を折ったまま近寄った。
小林は眼鏡を外し、両目を手のひらで覆った。
な、泣いてる…?
「こ、小林くん…?」
「全然、気にしてない」
言いながら顔を上げるから、自然と至近距離で見つめ合うことになる。
裸眼の相手は、はっきりとした漆黒の瞳をしていた。
やや長い睫毛。
私はまるで吸い寄せられるように、見つめるしかできない。
呼吸できることが、奇跡。
それほど、心臓がドキドキとうるさいくらいになぜか高鳴ってきた。
ややあって、私は小さく首を傾げた。
真正面の相手に、両手を、握られたから。
「俺は、怖くない?」
「……っ」
怖くないかと聞かれれば、それはよく、わからない。
男性として、クレーマーのアイツみたいな嫌悪感は湧かないけれど、バイトの小林と。見つめ合って両手を柔らかく包み込むように握られていて、その温かさと、突然魅せられた素顔とじわじわ知ってゆく優しくて強い本性に。驚くくらい浸ってしまいそうな自分が、怖い。
「ん?」
鏡に映したように小林も、私と同じくらいの角度で首を傾げた。
「手、冷たいね」
言い終わるかどうかの瀬戸際で。
両手を相手側に引き寄せられ、「!」前のめりになった瞬間に唇が触れ合う。
「だってあれ、ほんとのことだし!」ついムキになる。「ああいうの、気にしないでね!小林くんは悪くないんだし。今日のこともほんとなんか、ごめんね…」
言葉の最後をフェードアウトさせながら、私はうなだれる小林に膝を折ったまま近寄った。
小林は眼鏡を外し、両目を手のひらで覆った。
な、泣いてる…?
「こ、小林くん…?」
「全然、気にしてない」
言いながら顔を上げるから、自然と至近距離で見つめ合うことになる。
裸眼の相手は、はっきりとした漆黒の瞳をしていた。
やや長い睫毛。
私はまるで吸い寄せられるように、見つめるしかできない。
呼吸できることが、奇跡。
それほど、心臓がドキドキとうるさいくらいになぜか高鳴ってきた。
ややあって、私は小さく首を傾げた。
真正面の相手に、両手を、握られたから。
「俺は、怖くない?」
「……っ」
怖くないかと聞かれれば、それはよく、わからない。
男性として、クレーマーのアイツみたいな嫌悪感は湧かないけれど、バイトの小林と。見つめ合って両手を柔らかく包み込むように握られていて、その温かさと、突然魅せられた素顔とじわじわ知ってゆく優しくて強い本性に。驚くくらい浸ってしまいそうな自分が、怖い。
「ん?」
鏡に映したように小林も、私と同じくらいの角度で首を傾げた。
「手、冷たいね」
言い終わるかどうかの瀬戸際で。
両手を相手側に引き寄せられ、「!」前のめりになった瞬間に唇が触れ合う。