私は異世界の魔法使い?!
「おい、お前。魔法はどの程度使えるんだ?」
「……」
少しシカトしてみよう。
うんうん。
そうだ、私が話してしまうから喧嘩になるんだ。
コイツ発言なんて無視してしまえばいいんだ。
そうしよう、そうしよう。
「聞いてるのか」
「聞いてない」
「なんだそれ……聞こえているじゃないか」
はっ、馬鹿だ私。
つい海斗ともこういうやりとりするから癖で答えてしまった。
無視するってさっき決めたばっかなのに、癖とはいえもう答えちゃうとかそれはさすがに馬鹿すぎ……。
「あー、もう! カイトのこと無視しようとしたのについこの口がっ」
「ふっ、なんだそれ。ほんとお前は馬鹿だな」
反論しようと顔を向けた先で、私の口は固まった。
いや、固まったのは口だけではない。
目も顔も体の機能全てが固まってしまった。だってそこには、笑ったカイトの顔があったから。
嫌味ったらしいニヤリとした表情では無く、ほんのり口角が引き上がったものでもなく、大口を開けて目を細めて笑っている。
……あっ、笑った顔も同じなんだ。