私は異世界の魔法使い?!
「……おい。俺と共に行動するのなら、そばから離れるな」
そう言われて初めてカイトとの距離に気づく。
と言ってもその距離は2メートルほどだけど。
なんだかんだ言い方悪いけど、心配してくれてる……?
ほんの少し心がほっこりしたその瞬間、カイトの口元がにやりと笑った。
「別に別行動取ったっていいぞ。その代わり、お前がここから抜け出す保証は何も無くなるがな」
どうしても一言いわなくちゃ気がすまないんだなっ!
もう慣れたけど!!
「わかってるわよ! 行くわよ! ちゃんと……」
「おいっ!」
ふてくされながらも止まっていた足を再び歩み出した時、事は起きたーー。
「……えっ」
カイトが目の前でぐにゃりと歪んだかと思えばそれも束の間。
まるで風に吹かれて飛んでゆく砂のように、今まで目の前にいたのは蜃気楼だったのではないかと思えるほどに、カイトは私の目の前からこつぜんと姿をした……。