私は異世界の魔法使い?!
「カイトッ……」
口を開けば嫌味ばっか……だから少し静かになればいいって思ってた。
そしたら見てくれだって悪くないんだし、きっとイライラする回数だって減るって思ってた。
……そう、思ってたんだ。
だけど、ねぇ。
……ねぇ、何か話してよ。
いつもみたいに意地の悪い言葉でもいいから、生意気な言葉でもいいから、何か話してよ。
そんな静かなのはカイトらしくないじゃない。
私の手がカイトの背中に刺さっているものを見つけた。
それは黒い立派な羽。
カイトの胸を深く突き刺している。
本来ならば私の心臓目掛けて飛んできたもの。
それがカイトの背中から胸にかけて突き刺さっていた。
ーーねぇ……どうすればいい?
この羽を抜けばいいの?
抜いていいの?
抜いたらカイトは元に戻る?
また減らず口を叩きながらも、そっと私の手を握ってくれる……?
ねぇ、カイト……答えてよ……。
「どこまでも邪魔をしてくれるのお……誠に小賢しいヤツじゃ。……じゃが、まぁいい。今度こそ実亜、そちの番じゃ」
カモタケツの言葉を聞いて観衆のように、時が止まったように、私達をただ見ているだけのサイ達が動き出した。
私達の周りを取り囲み、やがて私のそばでこん棒を振り上げた。
「そいつと共に消えるがいい」
私はカイトをギュッと抱きしめた。
どんどん冷たく、どんどん重くなってゆくカイトを強く、強く……。