私は異世界の魔法使い?!
・解けた心
チリリン チリリンーー。
鈴のような音。そんな音がどこか遠くで聞こえる、気がする。
「実亜……」
その音に混じって優しい声が聞こえる。
シフォンケーキのように柔らかくて、クリームのように甘い声。
その声に導かれるように、私の意識は覚醒した。
「……カ、イト」
至近距離にあったカイトの顔はどんどん遠ざかってゆく。
私の声を聞いて、一瞬ほっと肩をなで下ろしたように見えたのは気のせいだろうか。
いつもの憎たらしそうな表情に戻ってしまったから、その真実を探る事は出来そうにない。
「実亜、酷い姿をしてるな」
「……え?」
そう言えば、ブルーベルにも言われたっけ?
ってか、アークどこ行った?
それに、ノアは?
二人とも姿が見えない。
って、その前に……目が見えてる。
意識の中だけじゃなく、今もちゃんと見えてる。
これはやっぱりミアのおかげに違いない。
そう思って辺りを見渡そうとして、気がついた。
私は、カイトに抱きしめられていたのだという事に。