キミが泣くまで、そばにいる
頭の中で、アカツキの顔がふわっと崩れる。
知紗、と呼ぶ声が、耳の奥でこだまする。
もしアカツキの忠犬をクビになっても、トワくんの犬になれば、そばにいられる。
グループの一員として、アカツキのそばに……。
トワくんが凛々しい眉をひそめた。
「チーコ? お前、なんかおかしくね。さっきから、表情が――」
言いかけ、はっとしたように目を丸める。
トワくんの手が、私の頬に伸びる。
「お前、何泣いて」
そのとき、視界が覆われた。冷たい指の感触が、私の鼻から上を覆い隠す。
「アカツキ」
トワくんの戸惑ったような声が聞こえ、次の瞬間、腕を引っ張られた。
廊下を走り出す。
解放された視界に、砂色の頭があった。
私の手を強く掴んだまま、アカツキは振り返らずに、廊下を突っ切った。