キミが泣くまで、そばにいる



 ホームルームはさぼり確定だ。

 じわじわとアブラゼミの鳴き声が騒がしい中庭まで来ると、アカツキは木陰のベンチの前で立ち止まった。

 振り向いた顔に笑みはなく、真っ黒な瞳に引力をもったまま、私を見下ろす。

「知紗、なんかスネてる?」

 思わず、顔を逸らした。

「べ、べつに、そんなこと」

 なぜか、アカツキの顔をまっすぐ見られない。

 私は彼から距離を取るようにベンチに座り、うつむいた。

 けれど、微笑み王子は私の正面にしゃがみこみ、顔を覗き込んでくる。

「知紗さ、なんでこれまで、俺の言うこと、きいてきたの?」 

 まっすぐ見つめられ、顔が熱くなる。

「だって、そういう契約で……」

「脅される理由なんて、もうとっくにないのに?」

「……」

「知紗だって、ちゃんと分かってたでしょ?」

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