キミが泣くまで、そばにいる


 そう、とっくに気づいていた。

 佐久田先生と付き合ってる事実がないと分かった瞬間から、アカツキの脅しは無効だった。

 何も言えずに、目を伏せていると、ため息が聞こえた。

「わかった。もういいよ」

 突き放すような口調で言い、微笑み王子は立ち上がる。

「え……?」

 笑ってない顔で、アカツキはじっと私を見下ろした。

「もう忠犬契約終わり。これからはもう、俺の言うこと、きかなくていいから」

 ドクッと胸が鳴った。

「アカ、ツキ?」

「じゃあね、知紗。バイバイ」

 細い背中が、ベンチを離れる。
 木陰から陽の差す場所に出たとたん、砂色の髪が太陽に輝いた。

 思わず立ち上がる。

 でも足が動かなかった。胸が激しく鼓動してる。

 待って、と呼びかけたいのに、喉が詰まって声を出せない。

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