キミが泣くまで、そばにいる


 待って、アカツキ――

 心の中で叫んだ瞬間、まるでそれが聞こえたみたいに、広い背中が立ち止まった。

「――なんちゃって」

 そうつぶやいて振り返ったアカツキは、片方の口角を上げ、怒ったような、照れたような顔をしている。

 ベンチのそばまで戻ってくると、握り締めた拳で、こつんと私の額を叩いた。

「トワに飼われようとしてたから、ちょっと、おしおき」

 口元を綻ばす彼を見て、私の目尻からぼろっと涙が落ちた。

 やさしい目のまま、アカツキは親指で私の頬をぬぐう。

「泣き顔も、ほかのやつに見せるの禁止」

 穏やかに笑う顔を見たら、気持ちが緩んで、涙が止まらなくなった。

 ぼろぼろと落ちていくこの涙は、いったいなんの涙なんだろう。

 唯一分かるのは、悲しい涙じゃないということだけだ。

「さっきさ、取り巻きの子たちが犬にしてくれって言ってきたんだけど……」

 アカツキは私をベンチに座らせた。


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