キミが泣くまで、そばにいる


 セミの声にまぎれて、どこかの教室のざわめきが聞こえてくる。通知表を配られてるのかもしれない。

「もしかして知紗、それでスネてんの? 俺がほかの誰かを忠犬にするかもって」

 あまりにも直球だった。

 自分でもよくわからなかった気持ちを、アカツキはズバッと言い当ててしまった。

 頬がみるみる赤くなる。

 私……アカツキを、独占したいと思ってたんだ。

「俺、誰かを犬にしようなんて、思ってないよ」

 長い足を折り曲げて、微笑み王子はまた私の正面にしゃがみこむ。

 目が合うと、笑みを満開にした。

「ついでに言うと、知紗のことも、犬だなんて思ったことないから」

「え……」

 ずきりと、胸に痛みが走ったとき、アカツキが私の両手に触れた。


「俺、知紗が好きだよ」


 胸の奥が、ぎゅっと締まった。


「俺の、そばにいてよ」


 笑い方が優しくて、また、涙が落ちた。


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