略奪ウエディング
人を傷付けて始まった私たちの恋だから、他の人と同じことがすべて出来なくても仕方がないと思っていた。
お互いを信じられずに、傷つけ合った。理解するまでにたくさんの壁を乗り越えた。
それができたのは……あなたとだったから。
「悠馬…」
「ん?ほら、食べて。ホテルニューオリンズ佐倉の特注料理なんだよ。これには特にこだわったんだから。一口でも」
会場はカラオケに突入しており、いつものように男性社員と女性社員がマイクを争奪して闘っている。
「諦めていたことを全て叶えてくれた。あなたは…魔法使いみたい。………ありがとう」
言いながら、涙がこぼれ落ちた。
「魔法使いか。もしもそうなら使う魔法は一つだな」
私は彼を見た。
「…梨乃が俺をもっと好きになるように。俺は魔法をかけ続ける。
今日のは序の口。
もっと惚れさせてあげるから」
その笑顔だけでもう十分なのに。
これ以上好きになったら、きっと息ができなくなる。
「………強烈だわ。めまいを起こしてしまう」
泣きながら言う私を、彼は笑いながら見ていた。