神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


自分より大きな四郎くんの肩を無理やり抱いて、雷牙は教室から出ていこうとする。


「離せっ、なんなんだお前はっ」


「美心、今日はゆっくり帰ればいいから!

兄貴は部活だからさ、帰り道ちょっと心細いかもだけど……」


「離せと言うに!」


「うっせーな!
いいから来いっつってんの!」


雷牙と四郎くんは、ぎゃーぎゃー言いながら先に帰ってしまった。


というか、強制連行?


あとにぽつんと残されたあたしは、ぽかんとその背中を見送るだけだった。


ゆっくり帰ればいい、か……。


雷牙、きっと風牙くんと相談して、気を遣ってくれたんだ。


四郎くんが来てからというもの、毎日お世話で振り回されっぱなしだったもんね……。


彼の目立つ姿が視界から消えると、ほっと安堵のため息が漏れた。


ありがとう、雷牙。


今日くらいは、ゆっくりさせてもらうよ……。


といっても、特にやることはないんだけど。


部活に入るタイミングも逃した帰宅部だし、これといって趣味もない。


いやいや、こんなんじゃダメだ!


せっかく変なものを見えなくしてもらってるんだし、この機会に今までできなかったことをあれこれやらなきゃ!



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