神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「その気持ちは、変わってないから」
メガネの奥の目は、嘘をついているようには見えない。
とくとくと、心臓が速いテンポで脈を打つ。
「……親しくなりたいって言い方が、悪いかな」
槙原くんはそう言うと、その細い指先をそっとあたしの方へのばす。
その言葉の意味を飲み込む前に、墨で汚れたあたしの手に、彼の手が重なった。
「あ……の?」
「……好きなんだ」
「え」
「つきあってほしい」
………え、あ………はいぃぃ!?
聞き間違いかと思ったけど、槙原くんはあたしの手をたしかににぎっている。
ど、ど、ど、ど、どうしよう。
心臓は爆発寸前、脳はオーバーヒート。
指先が震えて、かすかに痛い。
槙原くんの顔が、ゆっくりとあたしに近づく。
「………ぁっ」
そのとき、あたしは見たんだ。
彼の茶色がかった瞳の中の黒い瞳孔が、すっと縦に細長く歪んだのを……。