神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「ああっ!?なんだよお前、美心をどこに連れていくんだよ!」
腕まくりをし、バケツに水をくみ、雑巾を持った雷牙が驚いて叫ぶ。
「飯だ。片づけは頼む」
四郎くんは笑顔で雷牙の肩をぽんとたたいた。
……ひどい!このひと、天使のような笑顔で、ひどいこと言ってるよう!
「な……ちょ、おいっ!
なんなんだよーっ!一緒に片付けていけーっ!」
雷牙の怒号を背に、四郎くんはずんずん歩く。
「四郎くん!ひどいよ!雷牙が可哀想!」
ふりほどこうとしても、四郎くんの手はびくともしない。
「いいから早く来い!」
彼は怖い顔であたしをにらむ。
低い声で怒鳴られて、無意識にびくりと肩を震わせてしまう。
それが伝わってしまったのか、四郎くんははっと我に返ったみたいだった。
気づけばあたしたちは、誰もいない校舎のすみにいた。
「……怒鳴って悪かった。
あの坊やとお前が接近しているのを見たら、いてもたってもいられなくなって……」
珍しく謝り、深刻そうな顔をする四郎くん。