神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


さっきの状況を思い出し、顔から火が出そうになる。


み、見られてたんだ……。


でも、いてもたってもいられなくなったって?


「どうして……」


四郎くんは、あたしに興味なんかないはずでしょう?


なのに、それじゃまるで……。


今日何度目かになるドキドキが、あたしを襲う。
しかし。


「……坊やから、一瞬だがオロチの気配がした」


「……え?」


「聞こえなかったか?

あいつが、オロチにとりつかれてるかもしれないと言ったんだ」


ああ、そう……。


だから、いてもたってもいられなくなったのね。


……ってオイ!


「ええええええええっ!?」


「叫ぶな、やかましい」


これが叫ばずにいられますか!!


槙原くんが、オロチにとりつかれていたなんて……!


「そういえば……」


弱い妖怪は見えなくなっているはずのあたしの目に、彼の瞳孔が細く歪むのが、見えた。


あれは……蛇の目だったんだ。


そして四郎くんは、やきもちをやいたんじゃなくて、宿敵からあたしを遠ざけてくれたんだ……。



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