神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「一時的にとりつかれたのか、そうでないのかは、わからない。

用心するにこしたことはないし、しばらく坊やに近づくのはよした方がいい」


淡々と説明をする四郎くんの顔は、いつもより緊張しているように見えた。


「そうかぁ……変だと思ったんだ……」


突然すぎる告白だった。


大して仲良くもないし、お互いのことを何も知らないのに。


槙原くんが、あたしのこと、好きだなんて……。


「……そんなわけなかったんだ……」


彼はオロチにとり憑かれていたから、あたしに近づいた。


「じゃあ、早く槙原くんからオロチを追い出してあげなきゃ……」


大変なことになった。


オロチは、誰も気づかないうちにすぐそばに来ていた。


あんなものに憑かれたら、宿にされた人間がその影響でどうなっちゃうかわからない。


そう。すごく大変な事態だ。


なのに……。


あたしの胸は不安よりも落胆で、ズキズキと痛んだ。


槙原くんの告白は、彼の本当の気持ちじゃなかった……。


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