神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


神社の鳥居の前で、あたしたちは立ち止まった。


日はほとんど沈んでいて、暗くなってきた空に星が浮かびはじめた。


「集まってるなー……」


雷牙が鳥居の中を見て言う。


たしかにたくさんの人に紛れて、妖怪や霊たちも集まっていた。


この神社の神様は穏やかな神様みたい。


気性の荒い神様だと、他の神様や妖怪が自分の領地に入るのを嫌い、追い払ってしまうこともあるのだそう。


スサノオ兄弟がここに来るまでに、そう教えてくれた。


「オロチを恐れているものたちも、にぎやかさに誘われて出てきたか」


風牙くんが指差した先には、避難したはずの小さいおっさんたちもいた。


学校からはいなくなってしまったけど、この地の全ての精霊がいなくなったわけじゃないみたい。


きっと彼らも、この土地に愛着を持ってくれてるんだ。


そう思うと少し嬉しい。


だけどオロチを召喚してしまった本人としては、申し訳ない気持ちにもなった。


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