神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「そうだな」
「お前たまにはマトモじゃん!」
二人は火花を散らしたまま、ジャンケンをはじめた。
「「あいこでしょっ!しょっ!しょっ!」」
なかなか決着がつかないし、周りの人が何事かと注目しはじめた。
そろそろ止めた方がいいかなと思ったとき……
「行くぞ」
耳元で、低く甘い声が聞こえた。
驚く暇もなく、手を引かれる。
そうしたのは、もちろん……。
「四郎くん?」
「しっ。いまのうちだ」
ぎゅっと力の入る、大きくてしなやかな手。
引き寄せられて、大きく胸がはねる。
人ごみの中へ紛れた途端、彼は駆け出した。
あたしの手を、引いたまま。
「少しだけ走るぞ」
屋台の電球や提灯の灯りの中を、あたしたちは走った。
過ぎ去っていく赤やオレンジの光が、横に伸びていくように見えた。