神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


少し走るって言ったって……!


普段着慣れない浴衣で、腕ばかり前に引かれて、開かない足は全然ついていけない。


「あっ……!」


下駄の先が何かに引っかかったような気がしたと思った。


ぐらりと体が傾き、一面の砂利道しか見えなくなったとき……。


「おっと!」


とっさに出した両手が、石で傷つくことはなかった。


ぽすんという音と共に、あたしが飛び込んだのは……。


なんと、四郎くんの胸の中だった。


「どんくさいやつめ」


彼はそう言いながらも、あたしを抱き止めた腕で、体勢を立て直してくれる。


「ひどい……四郎くんがいきなり走るからじゃない」


ドキドキして、息切れまでするんですけど……。


走ったせいだ。
きっと、そうだ。


「悪い悪い」


四郎くんは全然反省していない顔。


「なんでこんなこと?」


スサノオ兄弟と離れちゃって、大丈夫かな?


なんかもめてたみたいだし、気づいたら怒らないかな。





< 200 / 379 >

この作品をシェア

pagetop