神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
少し走るって言ったって……!
普段着慣れない浴衣で、腕ばかり前に引かれて、開かない足は全然ついていけない。
「あっ……!」
下駄の先が何かに引っかかったような気がしたと思った。
ぐらりと体が傾き、一面の砂利道しか見えなくなったとき……。
「おっと!」
とっさに出した両手が、石で傷つくことはなかった。
ぽすんという音と共に、あたしが飛び込んだのは……。
なんと、四郎くんの胸の中だった。
「どんくさいやつめ」
彼はそう言いながらも、あたしを抱き止めた腕で、体勢を立て直してくれる。
「ひどい……四郎くんがいきなり走るからじゃない」
ドキドキして、息切れまでするんですけど……。
走ったせいだ。
きっと、そうだ。
「悪い悪い」
四郎くんは全然反省していない顔。
「なんでこんなこと?」
スサノオ兄弟と離れちゃって、大丈夫かな?
なんかもめてたみたいだし、気づいたら怒らないかな。