神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
暗闇の中で光る、まあるい小さな灯りたち。
遠くから風にのってくる火薬や、安いソースや、砂糖の甘いにおい。
水槽の中でゆらめく金魚。
そんなものの中にいるとき、まだ小さかったあたしはわくわくが止まらなかった。
大好きなキャラクターのお面をつけて、お母さんとお父さんの指をにぎって歩いた。
妖怪も霊も、その日だけはざわざわとした景色の一部になって。
どこまでも、歩いていけそうな気がしてた。
だけど、帰り道はすごく寂しかったのを覚えてる。
このキラキラした世界は、いつか終わってしまうのだと。
涙が出るほど寂しかったのを、今でも覚えている。
「美心、あんなところに種子島がある」
四郎くんが指さした先にあったのは、昔からあるレトロな射的だった。
『種子島』っていうのは、種子島に伝来した鉄砲のことみたい。
「あの銃で撃って落ちた景品をもらえるんだよ」
「……なにか欲しいものはあるか?」
「え?うーん、とくに……」
射的の景品はいかにも子供むけな貯金箱だとか目覚まし時計とか、安いおもちゃの類。