神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
突然の暴風雨から、人々は逃げ惑っていた。
その多くは、神社から出て帰宅しようとしているみたい。
ごうごうと鳴る風の中、屋台の屋根や看板が飛ばされていく。
これじゃ、怪我人が出ちゃう。
四郎くんを探して走っていると、足元で金魚すくいの水槽が倒れ、金魚が土の上で水を求めてのたうちまわった。
「美心!」
名前を呼ばれ、はっと振り向く。
そこには、スサノオ兄弟がいた。
「お前ら、どこにいたんだよ!」
雷牙の表情が緊張している。
「美心、四郎はどこだ。
お前を放って、どこへ行った?」
風牙くんがあたしの肩をつかむ。
「隠れていろって言って、一人で行っちゃったの。
あの十字の杖を持っていたから、目立つはずなのに……」
普通の人間には見えないだろうけど、あたしたちには目印になると思ったのに。
四郎くんの姿は、たたきつける風雨のせいで、まだ見つからない。
立ち止まったままきょろきょろしていると、走って帰ろうとする人とぶつかってしまった。