神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「ごめんなさ……」
謝ろうとすると、ぶつかってきた浴衣の女の人が、ぐらりと体勢を崩す。
転んでしまったのかと思ったけど、その体は突然電源が切れた機械のように、膝をつき、そのままゆっくりと上体も泥水をはねて倒れてしまった。
「きゃ……っ!」
異常な風景に思わず悲鳴を上げると、雷牙が叫ぶ。
「見ろ、あっちでも……!」
顔を上げると、あちらこちらで同じように人が倒れていく。
「オロチの力か!」
風牙くんが言い、空を見上げる。
オロチはどこ?
どこに本体があるの?
ふと屋台の並ぶ先にある神社を見る。
すると、そちらで金色の光が瞬いた。
十字に光るそれは、間違いなく彼のもの。
「二人とも、あっち!」
スサノオ兄弟が神社の方を振り向いた途端、金色の光が天まで伸びた。
「あいつか!」
3人でそちらに駆け出す。
すると頭上の雲がぐわりと動いたような気がして、走りながら空を見上げる。