神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「待って、あたしも……」
「ならん!お前は診療所に避難しておれ!」
四郎くんはそういうと、六花さんにあたしを押し付け、走り出してしまう。
「四郎くん!」
「美心ちゃん、行きましょう。
ここは危険だわ」
「やだ……やだよ」
あたしは六花さんに向き直る。
「あたしが、オロチを召喚しちゃったんだもん。
任せておくだけなんて、ずるいじゃない」
六花さんは驚いたような顔をしたけど、すぐに厳しい表情に戻る。
あたしの手首をつかむ力は、強かった。
「美心ちゃんがいたって、あしでまといになるだけよ」
簡潔に伝えられる言葉は、あたしの胸を貫く。
そうかもしれない。
そうにちがいない。
だけど。
「浄化能力が役に立つかもしれないもの。
お願い、行かせて!」
あたしは六花さんの手をなんとか振り払い、人々の悲鳴がする方へと駆けだした。